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2018/05/14
更紗と聞いて、どんな生地をイメージされますか?
豊富な種類をもつものの、あまり知られていない更紗。
「更紗」について、基本的な読み方や、更紗の特徴など、「更紗」とはいったいどんな生地なのか、解説していきます。
タイトルのフリガナでお気づきだと思いますが、「更紗」と書いて、「さらさ」と読みます。
単に「更紗」と呼ぶ場合、英語では「チンツ」や「キャラコ」のことを指す言葉。
日本では、江戸時代中期より「華布」や「印華布」とか「更紗」などと呼ばれています。
更紗とは文様をプリントした布全般をさす言葉です。
定義は難しいのですが、金巾やキャラコに唐草、樹木、花鳥、ペイズリー、人物や動物、幾何学模様など民族独自の図柄を手捺染(ハンドプリント)したものを「更紗」と呼んでいます。
婦人服地としても使われており、ポプリンやサテンなどの更紗も多く、インドが起源といわれる木綿地の模様染めで、織物というよりも色柄の名称を意味しています。
ハンドプリント以外にも、産業革命後の機械による大量生産や合成染料、シルクや合成素材などによるものも含め「更紗」と呼ばれます。
スペイン語で「インディアナス」、フランス語で「アンディエンヌ」と呼ばれたのですが、「インド=更紗」の代名詞になるほど、歴史的にも大きな影響を与えた模様染めです。
更紗の語源に定説はありません。
インド西海岸のスラート地方のスラトからきたとも、ポルトガル語のサラシャとも、インド固有の織物名サラサスからとも、ジャワ語で他の模様染めのことをさすサラサともいわれています。
色々な説がありますが、音の差が小さいジャワ語の「サラサ」がしっくりきます。
国によって呼び方が違っても、模様をプリントした布をさす更紗。
その模様は「インド=更紗」と呼ばれるほど影響力を持っていた様子。
では、いったいどんな生地なのでしょうか?
更紗本来の布地は木綿。
その他、絹や金巾、キャラコなどもあります。
更紗の柄や模様は、布地全体を模様で覆うか、または模様の残り部分も地色で染めて、全体を隙間なく色で埋めたような染め柄が特徴です。
色はくすんだ濃いものが主流ですが、草花模様など明るい色目のものも多くなっています。
更紗の染め物は、植物や動物から抽出された天然染料を用い、手染めならではの趣と異国情緒のある模様が特徴です。
多くは藍や茜など多色彩に染め上げられています。
その柄付けの手法は、手描き、木版、銅板、絞り染め、ろうけつ染めなどのさまざまな手法があります。
以下では、更紗の代表的な 伝統的な手法を紹介していきます。
それでは、更紗の染色技法についてですが、ここから「バティック」という言葉が多用されます。
読み進めていただく前に、気になるバティックについては、バティックとは? をお読みください。
それでは更紗の伝統的な染色技法をご紹介していきます。
・もっとも伝統的な手法、手描きバティック、「バティック・トゥリス」
古くからの伝統技法で、チャンティンと呼ばれる銅、または真鍮の器具にろうを流し込み、表裏両面に直接模様を描き出す手法。
手間や時間がかかり、精密なものはろう描きに数カ月を要する。柄が細かいほど高価とされる。
・「型押しバティック」 バティック・チャップ
チャップと呼ばれる銅製のスタンプでろうを押し付けるハンドメイド技法。片面押しと両面押しがある。
手描きのバティックよりも早く安価にできるため、1部の富裕層にしか手に入らなかったバティックが一般の人にも普及することになった。
・「サブロナン」 バティック・プリント
ろうを用いず、シルクスクリーンプリントで捺染した「バティック柄プリント」のこと。
厳密にはバティックといえないが、安価で色使いが豊富で取り扱いが簡単なため、広く普及している。
・「バティック・コンビナシ」 コンビネーション・バティック
手描き、型押し、プリントを組み合わせたバティック。
一般的には、チャップで型を押し、細部を手描きで仕上げたバティックをいう。
両面型押しをしてから手描きで点描を描いたものは、手描きバティックと見分けがつきにくい。
世界には「インド更紗」のほか「ジャワ更紗」、「イギリス更紗」、フランスの「ジュイ更紗」、「ペルシャ更紗」、日本の「和更紗」など種類が豊富にあります。
また、イギリス更紗はチンツと呼び、ジャワ更紗はバティックと呼ぶのが一般的です。
伝来した国々により独自の発展を見せ、呼び名や手法、柄ゆきなどが変わっていきました。
それぞれの土地の特徴を生かした模様のものがつくられていますが、なかでも「ジャワ更紗」、「インド更紗」、「シナ更紗」が有名です。
ちなみにペルシャのものは絹地にプリントした絹更紗が多いです。
更紗とは、
・動植物や花鳥、幾何学模様などさまざまな模様や柄など、色柄の名称を意味する言葉。
・綿のほか絹や金巾、キャラコなどが主な素材。
・渡った国々で呼び方や手法、柄が異なり、その種類はとても豊富。
世界に広がり各地で独自に進化した更紗。
更紗の歴史については、欧州の織物業に大激震 18世紀の「更紗革命」 をご参照ください。
続いて、気になる世界の更紗について名称別に紹介します。