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2018/05/16
豊富な種類をもつ更紗(さらさ)。
地域によって呼び方が変わり、そのうえ別名ももつ更紗。
わかりにくい。
もしかして、「バティック」と「ジャワ更紗」って同じ意味!?
その前に、「更紗 ?」な方についてはこちら、更紗(さらさ)とは? をご参照ください。
特に、呼び名が2つもあると、わかりにくい。
そんな更紗ですが、中でも代表的な更紗、「バティック」の説明をしていきます。
バティックとは、インドネシア・ジャワ島付近でつくられる更紗のこと。
また、ろうけつ染めによる更紗柄の綿布。
ちなみに、その染め方は、温めて溶かしたろうで、柄を手早く描く方法です。
たくさんの複雑な製作工程が必要で、伝統的な技法で作られるバティックは2009年ユネスコの世界無形文化遺産に認定されています。
「バティック」と「ジャワ更紗」って同じ意味!?
インドネシアのジャワ島を中心に発達した「ろうけつ染め」でつくられる更紗は、「バティック」とも、「ジャワ更紗」とも呼ばれています。
ちなみに、「バティック」は、ジャワ語でろうけつ染めを意味します。
「バティック」も「ジャワ更紗」も、どちらも同じ意味ですね。
独特な図案と渋みのある色彩が特徴の文様染めで、その素朴で野趣な風合いが好まれています。
点描などの小模様で主柄の周りを埋めつくし、柄は花鳥などの動植物模様、複雑な幾何学模様を中心に、多種多様で独特な意匠が多いのが特徴。
図柄は草花、鳥、蝶、動物、果実、雲、魚などをモチーフにしたものが多い。
ボーダー柄に三角形を配列したものはテンパルと呼ばれ、竹の若芽を表現し繁栄を意味しています。また、生命の樹とよぶ図柄もあります。
伝統柄には、チュプロカン(格子風)、バラン(らせんの連続などによる斜め縞)、カウン(輪つなぎ、七宝)などがあり、かつては支配階級の人々のみが使用できた禁制柄もあります。
色は伝統的な藍、茶、茜の他、黄、青、黒など植物から採った天然染料で染められますが、19世紀後半、欧州から導入された化学染料が定着したころから、色彩は鮮やかになっていきました。
ろうけつ特有の茶色が主となり、茶と青に白、または茶にベージュ、オレンジに黒といった、熱っぽく強い感じのする配色。
ジャワ更紗の色柄は日本でも好まれ、渋みのある色は夏のドレスや夏のプリント生地に多用されました。
インドネシアは広大な海域を占める群島国家で、島ごとに異なる民族の要素と衣装、染色芸術が存在します。
主島ジャワ島の女性の平常着はサロン(下衣)とカバヤ、またはバジュ(上衣)の組み合わせが多い。
貴族階級ではサロンの代わりにカイン・パンジャンという幅の広い長裳(ながも)を用います。
これは男女ともに盛装時に、中央に細いひだを幾重にもよせ、その巻き方や柄で身分を表示するもので、日本の袴に相当する格式高いもの。
インドネシアの特徴は衣料を綿布で仕立てることと、バティックにあるように、サロンやカイン・パンジャン(民族衣装、スカートなど)などの腰衣は、全部バティックによるものです。
綿布にチャンチン(専用の筆のこと)で精巧な柄を手描きにして染めていきます。
この染色は主として女性の仕事で、ごく上等なものは1枚のサロンで3~4カ月かかるといわれています。
お国柄、日に何回とする水浴のたびにサロンは水をくぐり天日に干されるので、上質な綿布と堅固な染料、染色法が必要とされ、高度なバティック技術が発達したものといえます。
本来はチャンチンを用いた手書きでしたが、19世紀、チャップ(型のこと)が発明され量産が可能になりました。
バティックの製作はジャワ島を主としたインドネシアの先住民、ジャワ島に移住した中国、アラブ、ヨーロッパの人々の文化や宗教などの影響も加わり、土地ごとに特色のあるさまざまな模様のバティックが生まれました。
ヒンズー教や仏教文化の影響を受けたものなどがありますが、大きく分けると、「中部ジャワ様式」と「ジャワ北岸様式」があります。
2種類の様式について、それぞれの特徴を見ていきましょう。
王宮を中心にヒンズー教、仏教文化の影響が強くみられる伝統工芸として発達したバティック。
「ソガ」という茶褐色の植物染料と藍を使った茶と紺の色彩が特徴で、このバティックは「カイン・ソガ」と呼ばれます。カインとは、(布の)の意味。
他に「ジョクジャカルタ」や「スラカルタ」などがあります。
中部ジャワ様式のバティックは、斜柄の幾何学模様の「パラン模様」、七宝柄の「カウォン模様」、動植物を図案化してジャワ文化を象徴する「スメン模様」などが中心です。
中には、王族、貴族以外は着用を禁じられた模様もありました。
一方、こちらは中国、イスラム、ヨーロッパの影響が濃いバティックです。
派手な色調が多く、中国風の動植物模様や花、鳥、ペイズリーなどヨーロッパの壁紙や磁器の絵柄風のものが特徴です。
こちらのバティックには、「チルボン」、「ラスム」、「プカロンガン」などがあります。
模様や呼び名の違いはあれど、どちらも同じ「バティック」として、ろうけつ染めを意味する国際共通語として広く一般的に知られています。
バティックとは、
・バティックとは、インドネシア・ジャワ島付近でつくられる更紗のこと。ジャワ更紗とも。
・バティックは特徴的な文様染めで、素朴な風合いが好まれている。
・バティックとは、インドネシアの民族の要素と文化のつまった染色芸術である。
代表的な更紗、バティック(ジャワ更紗)の説明でした。